黒のように濃いみどり、陽に透けた涼しげなみどり、若い葉の瑞々しいみどり。様々なみどりが、その庭には溢れていた。 …本当に、きれいです。 日本はとっさに上手な言葉を選ぶことができず、漏れた感想は、結局平凡なものだった。けれど、隣りを歩くこの庭の持ち主には、日本の気持ちは十分に伝わったらしい。本当か?絶え間ないみどりに囲まれながら、イギリスはその瞳を輝かせて、日本に聞き返す。ええ。答えれば、頬を紅潮させて、自慢の庭なんだ、と彼は言った。まるでとっておきの宝物を見せる子供のように、はにかんで。 (…あ、) 様々なみどりが溢れた庭の中、日本はまたひとつ、うつくしいみどりを見つけた。 (ここにも、) 木漏れ日に煌めいた瞳は、滴るようなみどりいろをしていた。 ******** タイトルをクリックすると次にいきます。 |