1:あまいにおいに、眩暈 (仏英、米)



「昨日はヨーロッパで何か会議だったのかい?」


壁に掛かっていたタペストリーをしげしげと眺めていたイギリスが、目をまんまるくして振り向いた。その瞬間に、またかおった、気がした。驚いて薄く開いたくちびるが、いつもより紅いのは気の所為だろうか。


「お前よくわかるな」
「まぁね…あ、そこに座ってくれるかい?今コーヒーを持ってくるよ」
「またコーヒーかよ!紅茶出せ!」


叫んだイギリスを置いて、部屋から出る。今日はブラックを飲もう。イギリスは飲めないかもしれないけど、それでもブラックを。だって、




君が振りまくあまいにおいに、眩暈がしそうだ!







2: 「きみの唇でころして」



ほんの冗談だったのに、彼のくちびるったら、本当にころしかねなかった!





3:ドメスティックバイオレンスにくちづけ(米英+仏)



アメリカのくちづけは、どこでそう教わったのか、酷く乱暴だ。どっかの誰かのねっちねっちしたのと、どちらかを選べと言われれば小一時間は悩めるくらい、できれば遠慮願いたいものだ。


それでも今日もまた、それを拒めない(どうして拒めないのかは考えたくないから考えない)(色々考えると最終的に昔とか、かつての関係を思い出して憂鬱になるから)。こうなったからには、こっちも少々手荒に行こう。毎回、そう決心するものだから、俺と奴のくちづけは傍から見ると、なんだか凄いそうだ。ねちねちの方の男が言うには、


「あれはもう暴力だ。お前ら本当、ロマンっつうもんがわかってねぇな」


だそうだ。そうはいわれても、今更いとおしむ様なキスなんて気味悪い!(それじゃ昔みたいじゃないか!)





4:青い付箋に言付けて(仏英)



送り届けられた書類に貼り付けられた、青い付箋には一言、


『23:00』


乱暴に剥ぎ取って、ポケットへねじ込みながら、ちら、と壁の時計を見る


・・・あと、13時間





5: 挨拶代わりに(仏英)



ちょっとした軽口をこぼせば、回し蹴り
思いっきり罵ったら、それ以上の罵詈雑言、せせら笑い付き
抱きついたら、右ストレート
ちょっと触ると、往復ビンタ



・・・キスしたら、真っ赤な頬と、揺れるエメラルド












お題は こちら(前半3つ) と こちら(後半2つ)から