「最初からそういうつもりだった?」
「お前がそう思うならそうなんだろ」


誘い込まれた掘っ立て小屋の、壁際に立ったイギリスが微笑みを浮かべて、銃口をフランスに向けた。更に口角をあげる。嫌味な笑い方だった。


「・・・お前も好きだねぇ」


フランスが呆れたように息を吐いた。そして、銃口を全く気にすることなく、イギリスに近づいていく。革靴が床を踏みしめる、ごつ、ごつ、という音が静寂の中、酷く大きく響いた。時折、古びた木の床が、ぎぃ、と音をたてる。伸ばされた腕の先、その銃口がスーツの、心臓の辺りに接触するまでに近づいて、そこでフランスは立ち止まった。イギリスは何も言わず、フランスの意図を見破ろうと目つきを鋭くする。小屋の外を素早く、風が通り過ぎた。しばしの静寂が、場を支配する。


「・・・・・・」
「・・・・・・」


次の瞬間、ひゅっと風が小屋の中を走った。イギリスの襟元が強引に引っ張られ、同時にちゃ、と言う音。フランスがイギリスの顔に、口付けられるほどに近く顔を寄せるのと、イギリスがフランスのこめかみに銃口を当てたのは同時だった。そしてまた、そのまま止まる。やがて、フランスが面白がるように、片方の眉をあげた。それを見たイギリスは皮肉るように、ちょっと笑った。


「――本当に好戦的だなお前は」
「それは褒め言葉か?」
「勿論。俺、お前のそういうとこ、好きだよ」
「俺も、こういうことがあるたびに負けてくれるお前が好きだ」
「それは光栄」


応酬を続けながら、フランスが己のこめかみに当たる小さな銀の銃を、イギリスの襟を掴む手と反対の手でやわやわとつかんだ。イギリスが感情の読み取れない目でフランスを見上げる。その指に、己の指を絡ませるようにし、手をやさしく引くと、銃は抵抗なく、イギリスの手から離れた。緑色の目から視線をはずすことなく、フランスは銃を側にある、傾いたテーブルに置いた。重い金属が木に当たる、ごとりという音。同時に反対の手で、顎をすくいあげた。見詰める。


「・・・どう?」


予測していたらしいイギリスは、ふっと鼻先で笑う。


「いいのか?お前の最後の砦だろ」
「お前のためなら、別にいいかと思ってな」
「そこまでしてくれるのか」
「そりゃもう、愛してるから」
「・・・嬉しいお言葉だ」


イギリスが目を細めて、フランスを見た。先ほどまで冷たい銃を握っていたそのゆびさきが、柔らかな金髪をいとおしむように弄ぶ。耳の辺りに垂れる髪を、その耳にかけて、頬を撫でる。


「――お前は、俺のこと愛してる?」


訊ねたフランスに、イギリスは不敵に笑った。


「お前を俺のものにしたいくらいにはな」


My honey―-囁いたくちびるが次の瞬間、乱暴に塞がれた。















銃 弾 に 似 た

































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なんか殺伐ラブを目指そうとしたんじゃないですか(他人事)
うーん、難しい。というか殺伐な感じが一切ない(泣)