仏英というよりは英仏英です。 なる程これもまた勝負なのだ、と、フランスは思う。 ソファの上、抱き寄せた腰は意外に細く、そそるような曲線に沿って手を滑らせれば、さしたる抵抗もなく身を委ねたイギリスは緩慢に視線を寄越した。見上げる眸はあどけなく、身体つきも強靱とは言えず。けれど彼がその見た目通りの男ではないということを、フランスは嫌というほどに知っている。 「なんだよ、盛ったのか?ほんと、お前って節操ないんだな」 可愛らしい、とさえ言える容貌が、口を開いた途端これだ。憎たらしい言葉を口にしながら、見詰める翡翠は挑発的に細められた。勿論これが勝負だとわかっているイギリスは、ここで逃げたりはしない。 「ほんと、どうしようもない奴」 嘲笑を乗せた言葉とは裏腹に、その脚が、フランスの脚に絡みついてくる。服越しに施される曖昧な誘惑に、フランスは一瞬目を見開いたが、――しかしそ知らぬふりで、言葉を紡いだ。 「そんなこと言って、その節操なしにどこまでも付き合う節操なしは誰だ?」 更に体を抱き寄せて囁く間に、その指はイギリスの脚の付け根を服の上からなぞった。しかしイギリスは片眉を少しあげただけで、顔色も変えない。 「誰だろうな?マリアンヌ?ジョセフィーヌ?」 はぐらかす様に応えた幼顔には、凶悪な笑み。誘いかける唇は少女のように赤く、しかし浮かべた表情は、憎たらしく挑発的だった。言葉と共に、身を自ら寄せてきたイギリスは、フランスの鎖骨を人差し指でなぞる。うっとりと見入ったように鎖骨を見詰たイギリスは、それからフランスに、視線を投げかけた。 (自分からきておいて、まさか逃げないよな?) 語りかけるような双眸、ささやかで、しかし大胆な宣戦布告に、フランスは思わずにやりとしてしまった。そうこなくちゃ、面白くない。 フランスは寄り添うように凭れ掛ってきていたイギリスの身体を抱え上げ、腰かけた膝の上に、フランスに向かい合う姿勢で彼を座らせた。フランスを見下ろしてくる緑は一瞬、子供のように丸く見開かれて、―――しかし次の瞬間、やはり愉しそうに細められた。 ******** 挑発しあう仏と英をかきたかったんです、たぶん。 |