家族パロ。両親=仏、英、子供=米、加














昨日は「今日のクマさん」を見れなかった。理由は簡単。両親が喧嘩したからだ。


カナダの両親は、しょっちゅう喧嘩をすることで、ご近所にも有名になってしまったほどよく喧嘩をする。どのくらい有名かと言うと、お向かいの奥さんに、「ああ、あなた、あの喧嘩のご夫婦のご長男ね!」と言われるほどだ(カナダは本当は次男だが面倒なので黙っている)。原因はだいたい、至極つまらないことであるが、幼馴染みだったらしいふたりの、お互いを罵倒する言葉のストックは数知れず、言葉が尽きれば実力行使、ということで、いままでに割ったウェッジウッドの数ははかり知れない。仲裁しようなどという考えは考えるだけ無駄だ。そんなことをしたら、「すっこんでろ!」という迫力満点のイギリスの怒号と共に、フランスの投げた花瓶が顔面にヒット間違いなしだ。以前、近所に住むスペイン(彼はフランスと同級生だ)が言っていた話を思い出す。学生時代も、ふたりの喧嘩は学校全体を巻き込む規模だったらしい。一番すごかったときは、イギリスが学校の窓ガラスを割りまくったとか(生徒会長なのに!)。ちなみにその喧嘩の結末は「思い出すのもはずかしいわぁ」だそうだが、カナダは良く知らない。


さて、あまりに酷い喧嘩がおこると、兄であるアメリカはカナダにはやく寝よう、と促す。なぜ、と毎回聞くのだが、その度にアメリカは、カナダはわかってないなぁ、と笑うだけだ。なんでも、カナダたちが寝ている方が喧嘩ははやく終わるらしい。アメリカの言うことはわからない。まぁカナダとしても、あんなところにはいたくないが。


昨夜もまたそうだった。両親の、「でけー方がいいに決まってんだろうが!」「形だろ!?」「だからお前は…」という怒鳴り声や、宙を舞うウェジウッドを避けながら、仕方なく二人は子供部屋へと撤退。テレビがダイニングにしかないこの家の、ダイニングで喧嘩をされたらテレビを見る事など不可能だ(喧嘩を気にせずに見ろだって?それは戦場を知らない奴が言う台詞だよ!)。結局、クマ左衛門さんがその後どうなったのかわからないまま、眠ってしまった。


さて、くまざえもん、ウェッジウッド、鍋、花瓶、毛布、ワインを代償に、両親は無事仲直りしたらしい。朝起きてみると、喧嘩はカナダのあずかり知らぬところで解決していた。


見ると、フランスはおおシャンゼリゼをエンドレスリピートで歌いながら、やけに豪華な――つまりイギリス好みの――朝食を作っている。じゅうじゅうとベーコンの焼ける音、カフェオレの匂い。イギリスはダイニングのテーブルに肘をついて、ぼんやりとそのさまをみている。なんだかやけに疲れているようだ。イギリスは喧嘩の次の朝はいつも疲れている。まぁ仕方ないかもしれない。フランスは不思議にいきいきとしているのだが。


と、ふいにフランスが視線をイギリスにやって、ちょっと笑った。気付いたイギリスが、一瞬あっけにとられたように固まって、それから照れたようにぷいと顔を逸す。それを見たフランスが笑い声をあげる。昨夜女性の胸についてで部屋をボコボコにしたとは思えないふたりの様子に、カナダはなんだかなぁ、と、なんとなく目をそらした。アメリカはまたも空気を読まず、腹が減ったとか言っている。


嵐がさって、平和な朝がきた。しかし、この平和が一週間もつづかないことを知っているカナダは、軽いキスを交わす両親を尻目に、小さくため息を吐いた。そして、今度からはクマ三郎のお話を、ちゃんと録画予約しておこうと、堅く心に決めたのだった。











Home sweet home






























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2月3日の日記の家族パロです。なんだかちょっと変わってしまいました。でも書いててすっごく楽しかった!! 夫婦の予想外の甘さに自分でびっくりしてます(笑)学生時代のはきっと、皆の目の前で屋上から告白とかだと思う(笑うとこです)

ということで、リク主の方に捧げます!リクエスト、本当にありがとうございました!